最新・当院の医療情報
● 歯周病の治療
歯周病は歯周病細菌の感染によって発症する感染症です。つまり、歯周病の治療はこれら細菌自体および感染した歯周組織等の感染源を取り除くことです。
まず 口腔内細菌の絶対数を減少させるための第一歩は、正しい歯磨きをきちんとすることです。
次に 歯石(細菌の塊)は歯磨きでは除去できません。そのため、スケーラーという器具を使って掻き取ったり、超音波スケーラーという器具の振動作用で除去していきます。歯肉炎や軽度の歯周炎であればこれで治療終了となります。
しかし 歯槽骨の破壊が進んでいる中等度以上の歯周炎では、細菌は歯周ポケットの深部で増殖しています。そのため、局所麻酔下で、歯周ポケット内の感染源をスケーラーで除去したり、抗生剤などの薬品を歯周ポケットに注入して、細菌を減少させることを行います。 さらに、それら治療に加え、徹底した深部の感染源除去および、再び細菌感染が起こらない口腔内環境を作らなければなりません。そのためには、抜歯が必要なこともありますし、歯周外科手術を行う必要もあります。
当院においては 重度歯周炎患者さんに対して破壊された歯周組織(歯槽骨、歯根膜、セメント質、歯肉)の再生手術を行っています。保険適応の人工骨を用いることもありますが、大半は、幼弱ブタの歯胚から抽出精製した「エムドゲイン」という材料と「オスフェリオン」という人工骨を用いています。
手術は局所麻酔下で約1時間から2時間で終了します(ただし、全身的な原因や歯槽骨の破壊の程度により全ての人にできるとは限りません)。参考までに平成20年の実績をグラフで示しておきます。
これまで説明してきた歯周治療が終了しても、本当の意味での歯周治療は終了しません。
なぜなら 口腔内の細菌をゼロにすることはできないため、必ず細菌は生息しているからです。口の中では感染と防御が繰り返されて、常に微妙な変化が起こっているのです。
糖尿病のコントロールを良好な状態に維持するのと同じように、口の中も良好な状態を維持する必要があるのです。そのため、ホームケアと定期的な歯科医によるメインテナンスが大切になってくるのです。
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